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2001年からブリュッセル在住の、日仏カップル。日・仏・白の話題を織り混ぜた、とりとめのない日記です。


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ガラスの宮殿
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4月からずっと記録的な好天、行楽日和が続いています。

メーデーで祭日だった火曜日、期間限定で一般公開中の、ラーケン地区(ブリュッセル北部)にある王宮温室に行ってきました。実はブリュッセルに住むようになってもう6年になるのに、まだ一回も行ってませんでした。

市内はどこもガラガラに空いているのに、この周辺だけすごい人出。40-50分並んで、中を廻るのに1時間ほどかかりました。ディズニーランドみたい。でも程よい日差しとそよ風のおかげで、外で待つ間も気持ちが良かったです。
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中に入ると、オレンジの花の香りで満ちていました。ゼラニウムやアジサイ、アザレアなどポピュラーな花から、ハイビスカスや極楽鳥花などさまざまな種が楽しめます。

順路は一旦外へも出ます。芝生の広がりや涼しげな池を眺めながら爽やかな風に吹かれていたら、京都御所を思い出しました。風景が似ているのではなくて、喧騒から離れた和みの空間として、なにか通じるものを感じました。

(ついでに久々に新宿御苑の温室のことも思い出して公式サイトを覗いたら、今月から4年間も建て直しのため閉鎖とのこと。今度帰ったら行こうと思ったのにな)

植物の種類の豊富さでは日本によくある温室の方が勝っているようですが、ラーケン温室の見どころは「ガラスの宮殿」とも呼ばれるという、アールヌーヴォー建築の温室と、広大な敷地。

ちょっと脱線しますがこの時代の温室から連想するのはアーケード商店街、いわゆるパリのパサージュやブリュッセルのギャラリー。19世紀初め、ガラスが一般に広く使用されるようになった時代に発展した商店街の形式です。日光を遮断せず、かつ風雨にさらされずに買い物ができるように考え出されたもので、ガラス張りの高い天蓋は温室様式からきているそうです。

一般にいう建築家と違い、温室を作るのはあくまでも技術屋の仕事でした。当時の建築家は重厚な石造りで芸術的なものこそ建築という考え方だったので、機能性やコスト、工期の短さを重視する温室建築家とは一線を画していたのです。

後にはパサージュにも装飾も凝った立派なものが増えていったものの、元々商店街としては長い年月かけて重厚なものをつくるより、とにかく低コスト・短期間で作れて機能的にも優れた鉄骨+ガラスという温室様式を取り入れたのでした。1851年のロンドン万博に向けて作られた水晶宮も、工期と費用の関係で温室様式を採用したものだそうで、2年で完成しています。

ちなみにベルギーのギャラリーの発展の方がフランスのパサージュ(主に1820年代)より若干遅く、時代的に鉄工技術が大分進んでいたお陰で、ギャラリー・サンチュベール(1846年頃完成)のように通路の広い、大規模なものができたのだそうです。パリではその頃百貨店の誕生により、パサージュの流行が下火になってしまいましたが、フランスの優れた鉄工技術は1889年のパリ万博でエッフェル塔により世界に示されました。皮肉にもボン・マルシェデパートも、エッフェル社の施工なのだそうです。エッフェル社がパサージュを作っていたら、どんなに派手なものができたでしょうね。

ラーケンの温室は、着工が1874年、完成が1890年。エッフェル塔と同じ頃です。鉄骨やガラスが建築家たちに積極的に使われ始め、装飾芸術としてのアールヌーヴォー様式も建築に取り入れられる少し前で、ここの設計者アルフォンス・バラの助手だったヴィクトール・オルタは、この温室で初めて鉄骨とガラスの建築を手がけたのでした。当時としては超モダンで斬新なスタイルだったに違いありません。ベルギーの「良き時代」が伺えます。

パサージュとギャラリーに関する鉄工技術のくだりは、大学の恩師に聞いた話が元です。細かい年代などを調べなおしていて気づいたのは、19世紀のフランスは共和制、帝政、王政、共和制とものすごい社会的変化を辿っていたにもかかわらず、今も残る文化的遺産を数多く築いていたということ。昔の人って、信じがたいほど力強いなと思います。

そして現在も変化の真っ只中。第六共和制にしようなんて言っている人もいますが、現代のフランスとヨーロッパは、これから何を残していけるのか。・・ちょっとスケールが大きくなって収拾つかない予感がするので、この辺でやめときます(爆)
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コメント
≪この記事へのコメント≫
うーん、非常に勉強になりました。
最後の段落の続きも読みたいなー。笑

あの混雑が恐ろしくて私も初年度以来行ってないのですが、こうして写真を見るとやはり見事ですね。
2007/05/07(月) 08:08:18 | URL | tomo #0ORuJgOY[ 編集]   
> tomoさん
私も毎年は行かないと思いますが、一度訪れる価値はありますよね。入場料安いし(笑)
2007/05/07(月) 09:30:58 | URL | ydr #L.iXitw2[ 編集]   
日曜のAMに行ったら、さほどの行列もなく、駐車も簡単にできました!
きれいでしたねー。芝生の向こうの五重塔もよかったです。
日本館とか言っておきながら、実は王様の借景だったのだなぁと実感。
ところで、温室に入る前のいのししの銅像、それからこの温室内の風景を見て、
「ジブリの世界はここを模してる」
って思いました。
2007/05/08(火) 20:06:23 | URL | つるぼ #-[ 編集]   
> つるぼさん
朝イチで行けば大分マシみたいですね。
子連れとかだったら絶対朝ですね~
五重塔も撮ったんですけど、残念ながらボケてました。
ジブリっぽいところありました、確かに!
2007/05/08(火) 21:42:56 | URL | ydr #L.iXitw2[ 編集]   
いのししの銅像
同じくジブリを連想した子供にせがまれ写真を撮りました(笑)
私は最終日の6日の午後4時近くに行ったのですが、驚くほど空いていました。切符売り場にも私達以外に一組しかいませんでしたし。

「まだまだ綺麗に咲いているのにもう公開終了なんて勿体無いね。花たちも沢山の人に見られたほうが嬉しいだろうに~」と、同行の友人が残念そうに言っていました。
2007/05/10(木) 08:44:21 | URL | ル #YYhS6EVE[ 編集]   
> ルさん
最後はそんなに空いちゃうんだ!
ゆっくり見られて良さそうですねぇ。
私も公開期間を1ヶ月くらいにしてくれたらいいのにと思います。

2007/05/10(木) 09:40:43 | URL | ydr #L.iXitw2[ 編集]   
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